Christmas Gallery
The Annunciation


"The Annunciation"
Leonardo da Vinci, Galleria degli Uffizi, Florence.


レオナルド・ダ・ヴィンチ
(14世紀、イタリア)
有名なダ・ヴィンチの「受胎告知」
「垣根」で囲まれたルネサンス様式の庭園に、読書するマリアが描かれ、ガブリエルは左から恭しく告知を行っています。鳥は現れませんが左手に花をもっています。
背景は美しい遠近法で描かれ、遠い景色はイタリアの夕昏れを思わせます。
ルネサンス当時はこうした構図の絵が数多く描かれました。

母マリアへの「受胎告知(聖告)」の絵画ほど、新鮮な発見を与えてくれるものは少ないでしょう。

一般に受胎告知の絵には、ある種の「約束」があります。

天使はいずれかの手に、「新しい命を象徴する花」を持ち、画面のどこかに受胎する「神の霊を表す鳥」が描かれます。また、マリアはおおむね右側に、告知する天使ガブリエルは左に位置します。さらに、マリアのいる場所は、垣根や壁で閉ざされています。これは、「マリアの処女性」を示しています。

加えて、告知を受けるマリアは、読書の最中だったように描かれることが多いようです。これは、旧約聖書「イザヤ書(7・14)」にキリストの降誕を予言したとされる部分があり、マリアにそれを読ませることにより、精霊受胎を暗示させるためだと解釈されています。

マリアを上位に描くか、天使の方を上位に描くかでも、受胎告知に対する教義・解釈の違いや時代性が表われます。後に天の后となるマリアを重要視して上に位置させる場合と、天からの使いを重視してガブリエルを上位に描く解釈とがあります。

もちろん、これらは緩やかな「約束」なので、上のすべてを含む絵ばかりではありません。むしろ、時代や教義を背景として、それぞれがいろんな風にミックスされています。その中でどれだけ独自性を表現できるかが、画家の力の見せどころになります。

「受胎告知」の図は、画面の中にさりげなく描かれているものも、すべて考え抜かれて象徴的に描かれており、尽きない興味を与えてくれます。

それでは、いろいろな立場の絵を見てみることにしましょう。
 



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"The Annunciation", approx 1623
Galleria Sabauda, Turin
Orazio Gentileschi
(Orazio Lomi)
(Italian, approx. 1563-1639)

オラツィオ・ジェンティレシ
(17世紀、イタリア)

マリアの傍らに跪いたガブリエルが花を捧げています。よく見ると開いた窓から精霊である鳥が飛び込んで来ています。マリアを立たせ、ガブリエルを跪かせることで「聖母上位」を示し、17世紀初頭の作品とは思えないほど斬新な構図です。
 



"The Annunciation"
William-Adolphe Bouguereau
(French, 1825-1905)

ウィリアム・アドルフ・ボーグロー

このボーグローの絵では、マリアが左下方に位置し、明らかに天使上位の構図になっています。やはり花と鳥が描かれていますが、ガブリエルは右手を高くあげて鳥を指し示し、神の降臨を高らかに宣言しています。鳥のまわりには4人の智天使ケルビムが描かれていますが、これは旧約聖書「エゼキエル書(10・14)」に登場する4頭の獣とケルビムを暗示しています。




"The Annunciation"
John W. Waterhouse
(1849-1917) English

ジョン・W・ウォーターハウス
(19世紀、イギリス)

ウォーターハウスのものは、ギリシア風の庭に天使が降り立ち、告知に動揺するマリアの姿が描かれています。ガブリエルは花を持っていますが、鳥は現れていません。妖精や神話風の絵を得意とするウォーターハウスらしい、リアリティ溢れた受胎告知になっています。
 


<絵画選択&コメント: 野上絢>
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